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シロアリ防除(農薬の殺虫剤)は安全か?!



消費者被害注意情報(危害情報システムから)No.10

シロアリ等で腐食された家屋の倒壊が、問題になった阪神淡路大震災の記憶は、まだ新しいと思います。

多くの方にとって住宅は、1生に1度の買い物です。シロアリの害を防ぎたいと思う消費者は、シロアリ防除サービス(以下、シロアリ防除)を利用することになります。

しかし、シロアリ防除に多用されている化学物質は、人体への害はないのでしょうか?

危害情報システムには、シロアリ防除に使用する防蟻成分等の化学物質が原因で、何らかの症状が起きたという苦情(以下、事故)が数多く寄せられています。

以下に、シロアリ防除の問題点等をまとめています。

危害情報システムには、シロアリ防除による事故が 91 件寄せられています。

危害情報システムには、1985年度以降シロアリ防除による事故が 91 件報告されており、このうち、41件はこの3年間足らずの間に寄せられたものです。概要は以下のとおり。

〇事故はこの1年急増している


事故件数は93年度以降2桁となり、93年度12件、94年度13件、95年度11件であるが、96年度は12月までですでに22件と急増した。

シロアリ防除は春から夏にかけて行うことが多いですが、苦情は年間を通して寄せられています。

〇頭痛、喉の痛み、吐き気などが多く、複数の症状、全身の症状も多いです。

多い症状は、「喉の痛み」28件、「頭痛」26件、「吐き気・悪心・嘔吐」19件、「眼の刺激や痛み」11件などであるが、これらの症状を複数訴える人が多い。

また、「気分が悪い」11件、「体調が悪い」3 件など全身症状もある。「その他の異常」17件は、膠原病、過敏症、自律神経失調といった原因の断定しにくい症状です。

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〇6人に1人は、治療に1か月以上を要しています。

医者の治療を受けたか否かが明らかなものは60件、その半分強の32件が、医者の治療を受けている。

医者にかかったものの治療期間は「1週間未満」が最も多く14件でありますが、「1カ月以上」も11件。

シロアリ防除による健康被害は、通常の家庭用殺虫剤等に比べて、症状が重いです。

〇被害にあったのは女性が8割、また、40歳以上が8割。

事故にあった人の約8割は女性であり、また40歳代、50歳代、60歳代が多く、40〜69歳で全体の約8割を占めています。

男性は50歳以上が6割と多く、女性は40歳以上が9割近くいます。

〇薬剤は、使用量の多い有機リン系(その中ではクロルピリホス)が多いです。

使用したシロアリ防除薬剤が、何であるかを推定できる苦情は37件で、この37件を、商品名などから推定すると、

有機リン系が27件(クロルデンと併用1件を含む)で一番多かった。有機リン系の中ではクロルピリホスが9件、ホキシムが5件、ピリダフェンチオンが2件、テトラクロルピンホスが1件です。


シロアリ防除した世帯のうち、18.3%の世帯で事故を経験している(消費者向けアンケート調査から)

95年12月〜96年2月、シロアリ防除の実情、事故の有無等についてアンケート調査を実施した。調査対象は全国消費生活相談員協会の会員及びその知人 2,000人であり、1,412人から回答を得た。回収率は70.6%である。結果は、以下のとおり。


1.シロアリ防除をしたことがあるのは、回答者の26.4%にあたる 372世帯であった。

2.シロアリ防除をした 372世帯のうち68世帯(18.3%)で家族の誰かに何らかの事故が起きた。

事故の症状と使用者に占める割合は表2のとおりである。一番多いのは「頭痛がした」の46世帯(12.4%)、以下「気分が悪かった」26世帯(7.0%)、「喉がいがらっぽかった」16世帯(4.3%)と続く。

3.「刺激臭が気になった」という人が、98人(26.3%)いた。このうち、45人は「刺激Lが気になった」だけで、事故にまでは至らなかった。

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4.事故を経験した世帯が経験しなかった世帯に比べて防除回数が多いわけではない。また、防除後の年数や保証期間も事故を経験した世帯もしなかった世帯もあまり変わらない。昔も今も危険度に変わりがあるとはいえない。

5.防除後1日以内に入居した世帯のうち、事故を経験している世帯は28.4%であり、防除後日を置いて入居した世帯の12.5%に比べて事故の割合は明らかに高かった。


多くの人が、安全性に関する情報を知りたいと思っている(消費者向けアンケート調査から)上記アンケート調査では、消費者のシロアリ防除に対する意識も調査した。結果は、以下のとおり。

1. 防除の際、薬剤名や薬剤の安全性について業者に聞かなかった人がそれぞれ半数いた。

2.「事故が起きた」あるいは「刺激臭が気になった」人の方が、「何ともなかった」人よりシロアリ防除を含む殺虫剤全般に対して否定的な意見が多かった。

3.半数以上の人が、防除剤を含む殺虫剤の「安全性についての情報が知りたい」と答えている。

この回答は、「防除したことがある人」と「防除したことがない人」でほとんど差がなかった。

「有害性についてもわかりやすく書いてほしい」という回答は7割以上あったが、「事故が起きた」あるいは「刺激臭が気になった」人では8割にのぼった。

4.防除剤に限らず家庭内で使われる殺虫剤・防虫剤などの化学物質についての知りたいこととして、「毒性」をあげた人は9割を超えた。

5.殺虫剤の毒性のうち特に知りたいこととして、「すぐ出る症状や毒性」をあげた人が7割程度いたが、「事故が起きた」あるいは「刺激臭が気になった」人に限ると約9割と高かった。


薬剤の気中濃度は安全基準以内であったが、施工方法によっては危険性がある(テスト、観察、聞き取り結果)

シロアリ防除による事故の原因を探るため、95年度に食品薬品安全センターに依頼してシロアリ防除後の家屋(5軒)内の気中濃度を測定した。

この測定には、当センターが立ち会い、防除の施工方法を観察し、施工業者から種々の聞き取りをおこなった。

以下は、それらから得た結論である。

1.適切に防除作業が行われれば、防除中も施工後も、室内の気中濃度はアメリカの環境基準の勧告値以内の濃度である(日本には、環境からみた基準はない)。

しかし、薬剤を散布するためのポンプの圧力や施工方法、散布使用量、薬剤の剤型によって気中濃度は大きく変化する可能性がある。

2.シロアリ防除に用いられる薬剤は、農業で作物に使用される薬剤に比べると、面積当たりの使用量が相当多量になる (100 倍を超えるという説もある)ため、環境汚染の不安がある。

また、使用濃度も農業での散布濃度に比べて非常に高いので、施工従事者は注意しないと散布中に高濃度の薬剤を浴びることになる。

3.防除剤が適正に用いられたとしても、食品を放置しておくと、農薬を使用した農産物と同程度の薬剤の汚染が起こる場合がある。


シロアリ防除の業界の安全対応は、不十分(事業者向けアンケート調査から)

18%という高率でシロアリ防除による事故が発生しているということになると、今行われているシロアリ防除のあり方や現行の安全基準を見直す必要がある。

そこで、生活害虫防除剤協議会傘下の家庭用殺虫・防虫剤製造販売業者88社、(社)日本しろあり対策協会傘下の防除剤製造販売業者43社、

シロアリ防除施工業者193社に対し、シロアリ防除に用いられる薬剤や施工等について、アンケート方式でいくつかの質問をし、

それぞれ 14社、35社、23社から回答を得た。その結果、概ね以下のことがいえる。

1.家庭用殺虫剤(シロアリ用)に比べ、シロアリ防除は依然として、安全性よりも効果に重点がおかれた薬剤が製造・使用されていた。

2.他の用途の家庭用殺虫剤・防虫剤と比べ、シロアリ防除薬剤は有機リン系化合物やピレスロイド系化合物の共力剤(殺虫効力を強める薬剤)として知られるS-421等環境汚染が懸念される薬剤が併用あるいは単独で使用されていた。

3.業者はシロアリ防除剤の成分を総合的には把握しておらず、その安全性(有害性)を十分認識できているとはいえない。

4.シロアリ防除剤もまたシックハウス症侯群(部屋の中の化学物質が原因で生ずる健康被害)の原因化学物質となりうるが、その点については研究も不十分で、皮膚アレルギー性でさえデータがある製品は全製品の2割以下であった。

5.防除剤メーカーは、施工業者に防除剤の毒性等の安全性データを手渡しており、情報の開示という点では家庭用殺虫剤(シロアリ用)より望ましい状況にあった。

6.シロアリ防除剤は、環境、有効性及び安全性の面からマイクロカプセル化、低臭化等、効力(持続性、残効性)と安全性を考慮した工夫が行われていた。

7.有効成分等の気中濃度の経時的変化の調査データを保有しているのは、防除剤メーカー、防除施工業者ともに半数以下であった。

8.防除剤メーカーは、従業員の健康診断データや従業員からの苦情を活用しきれていなかった。


シロアリ防除は安全か

1.シロアリ防除剤の散布による健康被害の症状は、農薬散布の急性の症状とよく似ている。

農業での散布に比べて、使用濃度や面積あたりの使用量が多いところからみて、相当注意を払っても、何らかの被害が出る可能性が否定できない。

2.事業者の安全性への取り組みからみると、シロアリ防除の殺虫成分や共力剤、有機溶剤等の気中濃度と健康への影響などについては相乗効果も含め、客観的な毒性データが不明であることから、シックハウス症候群などの健康被害の不安が残る。

3.シロアリ防除剤に含まれる殺虫剤は、専門の防除業者による通常の施工方法に基づいた使用では、特に顕著な危害は生じないと思われる。

しかし、シロアリ防除は施工方法によって防除効果や施工時の健康被害に影響が大きいと思われる。

法的な資格がなく、十分な知識がなくても、施工が可能な現状では、業者が常に適正な施工をすることは期待できない。

4.低濃度の種々の化学物質での健康への詳細な研究・報告が少ない現状では、化学物質に対して感受性の高い人や抵抗力の低い乳幼児、病人および高齢者等のいる家屋では、必要以上の防除剤の使用は避ける必要がある。

5.シロアリ防除を薬剤の多量散布にだけ頼るのは、抜本的な解決とはいえない。環境の保全という面からみても、適正な使用基準を定め、化学物質の使用量を減らす方策を考える必要がある。


業界への要望

1.シロアリ防除剤による過去の健康被害事例の情報を蓄積し、健康被害の原因を分析し、情報公開するとともに、被害防止に役立ててほしい。

2.多く使用される有機リン系、ピレスロイド系薬剤の中で、比較的蒸気圧が高く、ガス化しやすいもの、使用量に比して健康被害を多く起こす薬剤についてはより安全な施工方法を検討してほしい。

3.実際に防除を行う施工業者の、薬剤に対する知識、散布方法等が、消費者の健康被害の発生に関係する。

防除剤メーカーや施工業者の集まりである(社)日本しろあり対策協会は施工業者への教育にもっと力を入れてほしい。


消費者へのアドバイス

以上から、シロアリ防除は、できれば新築する前に消費者が十分対策をたてることが重要といえる。

以下に、防除を実施する時点の状況別に具体的なアドバイスを掲げたが、事故にあわないための基本は、

自分の家族だけでなく近所も含めて、現状をしっかり把握し、シロアリ防除の方法を決め、信頼できる業者を選択することである。

なお、外壁の近くに物を置いたり、植物を植えたりしないこともシロアリの被害を避ける自衛策である。

〇一般的な注意事項

1.家の建っている地域で防蟻処理がどの程度必要か、建築年数、近所の被害の状況、建て替えの時期やシロアリ被害の有無をよく調べる。

(社)日本しろあり対策協会認定のしろあり防除施工士などの専門家に相談すれば、無料で相談にのってくれる。

ただし、同協会はあくまでも事業者の団体なので、施工を勧めることが多いから、防除するか否かの最終的な判断は自分ですること。

2.薬剤を散布するかどうかよく考える。化学物質に対して特に過敏な反応を示す人は、薬剤の使用を控えた他の防除方法(弊社推奨のホウ酸による駆除など)も検討する。

3.薬剤を散布する場合は低臭化された製品やピレスロCド系の薬剤、ヒバの木の抽出液などの使用も検討する。

施工の方法も含め、価格、安全性と効果のバランスについてよく説明を聞くこと。

4.居住者の体質、健康状態、家屋の換気の状況や近隣環境等を施工前に入念にチェックしてくれ、薬剤の種類や施工の方法を詳しく説明し、保障制度や保険がある業者を選ぶ。

ていねいな作業をしてくれるか、評判をきくのもよい。

5.近隣に対しても施工について十分説明し、納得してもらうようにする。

〇新築する前ならできるシロアリ防除対策

1.新築家屋の構造は、水はけや防湿、換気、後からの点検や防除のしやすさも考えて、土の高さ、基礎コンクリートの高さ、換気孔の位置や大きさに配慮して設計・施工する。

2.土台に近い木材の選択は特に慎重に。シロアリに強い樹種の木材やシロアリ防除対策を講じた木材および土台を使用することが望ましい。

3.水回りの処理、床下の廃材処理は特に眼を光らせよう。木炭などをまくことで土壌を乾燥した状態に保つことなども検討したい。

〇防除施工の前後の注意

1.作業中はそばに近寄らないようにし、換気等にも注意する。室内の気中濃度は散布日より1日あとのほうが高くなる場合もあるので、当日だけでなく当分の間換気に注意する。

2.食品などは日頃から密封する習慣をつける。無造作に食品を放置しておくと、農薬を使用した農産物と同程度の薬剤の汚染が起こる場合があるので、空気より食品から摂取する薬剤の方が多くなる可能性がある。

〇健康被害が生じたとき

1.健康被害にあったと思われるときは、早めに医者の診断、治療を受け、診断書の交付を受けるとともに、業者や消費生活センターに被害の内容を申し出ること。

2.換気を十分行うとともに、消臭剤や中和剤の散布、汚染土の入れ替え、活性炭の利用等による薬剤洗浄の措置と原因究明により抜本的な措置を図るよう業者に申し出ること。

国民生活センターより引用



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担当石塚